生前に墓所を確保しても良い?
生前建墓について解説
「生前にお墓を建てても良いものか?」
「生きてるうちにお墓を建てる縁起が悪いと聞きましたが?」
「生前にお墓を建てる事は良い事だと聞きましたが?」
お元気なうちにお墓を建てておこうかと考えた時、色々な話が頭をよぎり少し考えてしまいます。
お墓の話題は、なかなか切り出しにくく、他の方はどうされているのかもよく解りません。
本項では、生前建墓について、あれこれ触れてみたいと思います。
生前建墓の代名詞の『寿陵(じゅりょう)』について
寿陵とは、中国の故事に習った『生前にお墓を建てる』事を指します。
「健康で長生きするため」「家族や子孫の繁栄を願う」等、寿陵による生前建墓の志は、各自で様々です。
筆者が墓石の仕事に携わって30年弱ですが、その頃にはすでに寿陵という言葉を聞きました。
おそらく寿陵と言いだしてから何十年かが過ぎたと思いますが、あまり日本では風習として馴染まなかったようです。
今では、大勢にの方々が「終活」に取り組まれているようです。
終活といわれ出した最初の頃は、主に老後のための準備や計画などに目的がおかれていました。
最近では、「今を、明日を、より良く生きるための活動」に着目点が移ってきています。
終活を始められてから、生前にご自身の墓所を決めておかれたり、確保をされている方もおられます。
より良く生きるための活動の先に墓所の確保がるようです。
寿陵と終活は、まるで「卵と鶏の関係」のようですが、終活は現代版の寿陵と云っても良さそうです。
生前建墓される方の多くは
生前確保の理由をお客様にお聞きしますと
1.子供の負担を軽減してやりたい。
2.気に入った(自宅から近い等)墓地が空いているうちに確保しておきたい。
3.収入が安定しているうちに買っておこうと思った。
4.終活を進めていくうちに、お墓を確保しておこうと思った。
と、多くの方が仰いました。
また、生前確保には、お客様が生まれ育った土地柄にも関係があるようで、「お墓は生きているうちに建てるものでしょ!」と仰る方も時々おられました。
『生前に墓所を確保する派』の方は、上記のような理由でお墓を建てておられます。
墓所の生前確保のメリットは?
ここでは、お墓あるある話をご紹介いたします。
ご親戚との、お墓あるある話
ご主人を亡くされて、ご家族で自宅から近郊のお墓の検討をされていました。
ある日、ご主人のご兄弟から「先祖の墓(ご主人の郷里)の隣が空いているから、ここにお墓を建ててあげたら〇〇(亡くなったご主人)も喜ぶは!生まれ育った場所が一番・・・」という、お申し出がございました。
かなり遠くて、ご家族としては嫌なのですが、ご兄弟の申し出を無視はできません。
亡くなったご主人のご両親がご健在の場合は、「嫁という立場」をあらためて実感させられる事になるようです。
ご主人様のご実家やご兄弟との関係が太い方は、ご主人様がお元気なうちに、お墓を確保しておく方が、後々の奥様の精神的なご負担は、かなり軽減されると思います。
後悔先に立たず、お墓あるある話
どこの墓地もホームページを用意したり、霊園検索サイトに登録したりしていますので、いつでも容易に墓地の情報を入手する事が可能です。
以前は多くても月に1~2回程度の割合で新聞に折り込みされるチラシが主な情報源だったという時代でした。
チラシが折り込まれる地域にしか情報が届かず、広告担当は新聞の部数表とニラメッコをしながら、チラシ配布地域を決めるのに毎度思案をしていました。
インターネットの発信力は大きく、交通アクセスの良い駅近霊園や手頃な費用の霊園などは、日々大勢の方が見学にお越しになります。
霊園の中には、近隣の競合霊園を意識したご奉仕価格のお墓を用意したりして、ご見学のお客様を募っています。
あらためて霊園を取材させてただ来ますと、ご奉仕価格の地区だけが完売していたり、入口から近いなどのお墓参りをしやすい場所が詰まっていたりしている事がよくあります。
やはり良いと思うところは、たいていの場合は他の方も同じ考えのようです。
お墓の確保そのものを迷われている場合は、再度じっくりとご検討をいただきたいのですが、すでにお墓を確保しようと決められている方は、良い場所がありましたら早めに決断をされた方が無難だといえると思います。
霊園によっては、手付金等は不要で一定期間仮予約をしていただける所もございます。
仮予約しておいてから、ご自宅でじっくりと考えるという手段もございます。
墓石会社の営業時代の話ですが、数年前にご見学された際に未決定だったお客様からお話をお聞きした事があります。
「あの時は収入もあったし墓地だけでも確保しておいたら良かったけど、今は・・・・」との事でした。
お墓は必要なものとお考えの方は、やはり生活の基盤が安定している時に確保されておくと、気持ちにゆとりができるようです。
墓所の生前確保のデメリットは
一般的な墓地の場合は、墓地を確保後に、毎年(または定期的な)墓地管理料の支払いを伴います。
誰も納骨していないのに管理料を支払うことに抵抗を覚える方もおられると思います。
永代供養墓の場合は、永代管理で後々の管理費は不要のとことが多く、管理料に関するデメリットはございません。
墓所の生前確保の一番のデメリットは、お子さん達が遠方に引っ越しをされたりして、距離が遠くなってしまう可能性があることです。
昨今盛んに行われている「墓じまい」をする理由の多くも、やはり墓参で移動する距離や交通アクセスについての障害による所が多いようです。
「自分(自分たち夫婦)の墓だから」といっても、やはり生前に墓所を確保しようと考えた時は、ご家族全員の意見や協力は不可欠だと思います。
執筆
有限会社オフィス石太郎
店長 柳田貴人
京都市南区西九条蔵王町11
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