2017年11月8日
食事前のお経「五観の偈」
禅宗僧侶は、食事の前に必ず「五観の偈(ごかんのげ)」というお経を読みます。
このお経は、道元禅師の「典座教訓(てんぞきょうくん)」の「赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)」にて引用されたものです。
- 典座教訓:食や調理の心構えを示しているもの。
- 赴粥飯法:食事を頂く心構えと作法を示しているもの。
宝善院へ参られた方にも、回忌や納骨などの法事後の食事や普茶料理を召し上がって頂く前などに読んで頂くように箸袋に記しております。
今回は、そのお経の意味を紹介します。
五観の偈の意味
・一つには功の多少を計り彼の来処を量る
(ひとつにはこうのたしょうをはかりかのらいしょをはかる)
目の前に用意された食事は、どれだけの方の手間暇をかけているのか、またどのような場所から食材が来ているのかを考え、感謝し頂きます。
・二つには己が徳行の全欠と忖って供に応ず
(ふたつにはおのれがとくぎょうのぜんけつをはかってくにおうず)
自分自身の今日一日の行いが、その食事に見合っているかを考え頂きます。
・三つには心を防ぎ過貧等を離るるを宗とす
(みつにはしんをふせぎとがとんとうをはなるるをしゅうとす)
貪る気持ちや過ぎる気持ちを防ぎ食事を頂きます。食事に限らず、こころを正しく保ち生活をしていきます。
・四つには正に良薬とするは形枯を療ぜんが為なり
(よつにはまさにりょうやくとするはぎょうこをりょうぜんがためなり)
食事は良薬であります。身体を養い、自分自身の生命の支えとして頂きます。
・五つには道行を成ぜんが為に正にこの食を受くべし
(いつつにはどうぎょうをじょうぜんがためにまさにこのじきをうくべし)
己の道を成すため、この食事を頂きます。
食事も修行のひとつされる大切なものです。
手を合わせ、ひとつひとつの食事に感謝を込め頂きましょう。
きっと心安らかな、豊かな暮らしに少しずつ近づくことでしょう。